
外観検査の見逃しを防ぐには?
―ラインスキャンカメラを活用した現場視点の対策 ―①
―ラインスキャンカメラを活用した現場視点の対策 ―①
1. 見逃し対策は「設備更新」から始めなくていい
外観検査で見逃しがあると、「カメラを変えたほうがいいのでは」と考えることがあります。
ただ、原因を整理しないまま設備だけを入れ替えても改善しないケースは少なくありません。
見逃しは、多くの場合、撮像条件や運用の前提が少しずつズレた結果として起きています。
そのため対策を考える際には、まず「なぜ検査に必要な情報が抜けているのか」を整理することが重要になります。
これは、装置性能の良し悪し以前に、検査として本当に必要な情報を取り切れているか、という視点です。
※見逃しが起きる背景については、「外観検査で見逃しが起きる原因とは?―ラインスキャンカメラでどう防ぐか ―① 」で詳しく整理しています。
2. 「全体を見切る」ための検査設計と、
ラインスキャンという選択肢
こうした前提を整理していく中で、検査方式そのものを見直す必要が出てくる場合があります。
ラインスキャンカメラは、すべての外観検査に向いているわけではありません。
一方で、条件が合う工程では、「情報を途切れさせずに取得する」という点で、見逃し対策の有力な選択肢になります。
たとえば、
・ワークが一定方向に連続して流れるインライン検査
・シート材・ロール材など、幅方向を均一に見たい対象
・撮像位置による見え方のばらつきをできるだけ抑えたい工程
こうした現場では、撮像情報が安定して連続すること自体が、見逃しを減らすことにつながります。
重要なのは、「ラインスキャンを使うかどうか」ではなく、今のライン条件で検査に必要な情報を本当に取り切れる構成か
という点です。
ラインスキャンが有効となる条件
3. 見逃しを減らすために見直したい撮像の考え方
ラインスキャンカメラを使う場合でも、設定が適切でなければ、十分な効果を得ることはできません。
現場では、生産性を優先するあまり、処理速度ありきで解像度や露光条件が決められていることがあります。
しかし、本来は欠陥の大きさや発生の仕方を基準に、どの程度の情報量が必要なのかを整理する必要があります。
また、照明条件も見逃せない要素です。
照明を見直しただけで、「これまで不安定だった欠陥が、安定して見えるようになった」というケースも珍しくありません。
撮像・照明・ライン速度は切り離せるものではなく、現場条件を前提に、全体のバランスとして組み立てていく必要があります。
そのためには、カタログ仕様だけで判断するのではなく、実際の運用条件を踏まえながら、検査として成立する構成を一つずつ詰めていくことが欠かせません。
4. まとめ
見逃し対策は、新しい設備を入れること自体がゴールではありません。
・どこで検査に必要な情報が抜けているのか
・今の条件で、本当に全体を見切れているのか
こうした点を整理した上で、ラインスキャンカメラの選択肢が重要になります。
次の第2部では、導入後につまずきやすいポイントや、既存設備との組み合わせを含めた考え方について整理していきます。
※ 本記事は一般的な検査設計の考え方を示したものです。
実際の検査性能は、ワーク特性、搬送条件、照明構成、装置仕様など複数の要因により変動します。
個別条件に合わせた最適化についてはご相談ください。
