1. HOME
  2. お役立ち情報
  3. コラム
  4. デジタルインタフェース規格の選び方

デジタルインタフェース規格の選び方

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
デジタルインタフェース規格の選び方

カメラのデジタルインタフェース規格とは、欠陥や異物の検出などの検査処理や良品不良品の選別処理を行ためのPC、あるいは専用の画像処理装置(以下まとめてPCと記載します)に、カメラで取り込んだ画像データを転送するためのインタフェース規格です。必要な検査性能を実現できるインタフェース規格のカメラを選ばないと、カメラからPCにデータを転送中にデータが欠落したり、データの化けが発生してしまい、PC上で誤検出などの検査エラーが発生します。そのため、最適なデジタルインタフェース規格を持つカメラを選択する事は、検査システム設計上大変重要な項目となります。この記事では、産業用カメラで一般的に用いられているデジタルインタフェース規格の種類と各特徴を俯瞰すると共に、インタフェースを選定する際の注意点について解説したいと思います。

カメラのデジタルインタフェース規格の種類

現在産業用カメラで最も一般的に用いられているデジタルインタフェース規格として、Camera Link、CoaXPess、GigE Vision、USB3 Visionの4つのインタフェース規格が挙げられます。各インタフェース規格の代表的な特徴を以下の表に示します。
Digital interface.jpg

各デジタルインタフェース規格の特徴

ここでは各インタフェース規格のメリット、デメリットについて簡単に解説します。

Camera Link

Camera Linkインタフェース規格は、2000年にアメリカのAutomated Imaging Association(AIA)によって開発された比較的古くからあるデジタルインターフェース規格ですが、現在でもマシンビジョン業界では最も標準的なインタフェース規格になっています。専用のケーブルを1本使うBase、2本使うMedium、Full、80 bit(Deca)の各構成(Configuration)があり、必要な転送スピードに応じてどの構成を採用するかを選択する必要があります。最高伝送速度は850Mbyte/sです。
またPC側には必ずフレームグラバボードが必要になりますが、フレームグラバボードは複数社から提供されています。ケーブル長は、最速の伝送速度の場合最長5mという制限があります。

CoaXPress

CoaXPressインタフェース規格は、日本インダストリアルイメージング協会(JIIA)によって開発され、2010年に発表された規格です。ケーブルには、アナログのビデオ伝送の時代から広く使われている同軸ケーブルを使います。Camera Linkでは対応できない高速のインタフェースにも対応している事、またケーブル長を最長35mまで伸ばせる事が特長です。同軸ケーブルを最大6本まで使用してデータを伝送する事ができるため、最高伝送速度は7.2GBytes/sと大変高速なデータ転送が可能になっています。

GigE Vision

現在広く普及しているイーサネット通信規格(IEEE802.3)を用いたカメラインタフェース規格です。Camera Linkと同じアメリカのAIA により2006年5月にリリースされました。標準的なEthernetケーブルで100mまでの伝送が可能です。Gigabit Ethernetの略語GigEにVISIONをつけて、インタフェース規格である事を表します。PCでも広く用いられている1 Gigabit Ethernetインタフェースを用いた(1)GigE Vision(1は通常省略します)の他、2.5GigE Vision、 5GigE Vision、10GigE Visionが規格化されています。2.5GigE以上の伝送速度の場合は、一般的にはPCにLANアダプタを装着する必要がありますが、1GigE Visionの場合には、PCの有線イーサネットインタフェースをそのまま使用する事ができます。そのためフレームグラバーボードが不要になる事から、安価な検査システムを構築する必要がある際などに多く用いられています。最高伝送速度は10GigE Visionの場合、1.1GBytes/sです。

USB Vision

2013年1月にIntelによりリリースされた比較的新しい規格です。現在ほぼ全てのPCに装着されている5.0GbpsのUSB3.0インタフェースを使って、400MBytes/sのデータ伝送が可能です。USBの規格団体USB-IFによるUSB規格の改良(USB3.1:10Gbps、USB3.2:20Gbps)に合わせさらなる高速化も期待されています。一方フレームグラバーボードは不要ですが、伝送距離は3~5mに制限されます。

デジタルインタフェース規格選択の際の注意点

次に、デジタルインタフェース規格を選択する際に注意する項目について解説します。特に注意すべき点として、
1. 伝送速度
2. ケーブル長
3. PCの処理能力
の3項目が挙げられます。

1. 伝送速度 検査するワークの移動速度、検出すべきキズや汚れなどの欠陥のサイズや種類などによって、検査で必要となるカメラの要求仕様(画素数、モノ/カラー、スキャンレート、データ階調など)が決まります。このカメラに対する要求仕様から、要求仕様を満たすカメラの出力データ容量を伝送できるための伝送速度が決まります。この速度以上の伝送が可能なデジタルインタフェース規格を選定することが必要になります。

2. ケーブル長 次に注意すべき点として、ケーブル長が挙げられます。前述した様に、各インタフェース規格毎に伝送可能な最長ケーブルが決まっています。そのため、カメラとPCの間の距離以上の最長ケーブル長を持つインタフェースを選ぶ必要があります。

3. PCの処理能力 見逃される事が多いため特に注意すべき点として、PCや専用の画像処理装置の処理能力/パフォーマンスが挙げられます。撮像した画像データをカメラから正しく出力したとしても、PC側で正しくデータを受け取り、サイズや欠陥の検出などの画像処理をリアルタイムで行えなければ、正しい検査を行う事はできません。

Camera LinkやCoaXPressインタフェース規格の場合はフレームグラバボードが必須となります。さらにCamera LinkやCoaXPressインタフェース規格の場合は、PCもフレームグラバーボードが装着できるPCIスロットのある比較的大きなサイズのものを選択する必要があるため、価格的にも高額となります。ただ、データ受信処理はフレームグラバボードが行うため、PCのCPUは、画像処理・解析処理に専念できるため、誤検出や検出漏れの無い精度の高い検査を行える事が期待できます。

一方GigE VisionやUSB3 Visionインタフェース規格では、フレームグラバボードが不要となるため、必要とする伝送速度が満たせれば安価なシステムを構築できるため良いのではと思われるかもしれません。ところがデータを受信するPCのCPUはデータの受信と画像処理の両方の処理を行う必要があるため、CPUの処理能力が十分で無い場合は、データの欠落やデータの化けが発生し、これに伴う誤検出や、検出漏れが発生してしまう可能性があります。

一般に検査装置を設計する際、価格的な制約は設計の重要なファクターになると思われます。ただ、いくら安い検査装置が出来たとしても、目標とする検査性能を満たす事が出来なければ、検査の意味を成しません。画素数等カメラ本体の撮像に必要とされる仕様のみならず、フレームグラバボードの有無、PCに使える費用も考慮に入れて、最適なデジタルインタフェース規格を選定いただきたいと思います。

まとめ

現在では、一般的なインタフェース規格としては今まで述べた4種類にほぼ絞られてきていると言えるカメラのデジタルインタフェース規格ですが、選定の際には、単に提供可能な伝送速度だけではなく、カメラとPC間の距離、PCのパフォーマンスなども考慮した上のトータルの装置価格という観点から、最適なインタフェース規格を選択する必要がある事がご理解いただけたのではないかと思います。

シーマイクロでは、単にカタログに載せたカメラを販売するだけでなく、お客様が必要とされる精度の検査や選別を行うためのカメラやデジタルインタフェース規格の選定についてもお手伝いさせていただく事が可能です。もしカメラやデジタルインタフェース規格の選定に困っている、というような場合には、一度是非弊社にご相談いただきたいと思います。

尚、本記事執筆にあたっては、シーマイクロも会員となっている日本インダストリアルイメージング協会(JIIA)のWebサイトを参考にさせていただきました。

まずはお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

お問い合わせ

各種お問い合わせは、以下メールフォームまたはお電話からお問い合わせください。

~お電話でのお問い合わせはこちら~

045-548-5778

受付/平日 9:00~17:00

資料ダウンロード

カタログやホワイトペーパー、
製品ごとの資料などはこちらからダウンロードいただけます