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ラインスキャンカメラとは?

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ラインスキャンカメラとは?

ラインスキャンカメラ(ラインセンサカメラ)は、図1のように、光を検出する正方形または長方形の受光素子が数千から数万の数だけ横1列、あるいは数列だけ並んでいる、細長いセンサ(ラインセンサ、あるいはリニアセンサ)を使っている特殊なカメラです。
このコラムでは、ラインスキャンカメラの特長、原理、一般のエリアカメラとの違い、そしてラインスキャンカメラを使うと、どんなメリットがあるかについて解説します。

ラインスキャンカメラ(ラインセンサカメラ)

図1

ラインスキャンカメラの特長

エリアカメラと比較して、ラインスキャンカメラは以下の様な特長があります。
・工場のシートの生産ラインの様に連続した検査対象(ワーク)が常に移動している現場で、ワークを継ぎ目なく撮影する事ができる
・広い面積をカバーする必要が無いため、照明を均一に当てることが容易
・高速で移動している物体を撮像する際に調整が容易
以下「ラインスキャンカメラの原理」と「エリアカメラとの違い」の中で、この特長について解説します。

ラインスキャンカメラの原理

図2にラインスキャンカメラを使ってシートの様なある幅のある連続したワークを撮像している状況を示します。シート上の赤い線が、ラインスキャンカメラが撮像している部分です。カメラは固定した位置に設置されますが、シートは右から左に流れてゆくため、カメラは、1ライン撮像する毎に少しずつ右にずれた場所の撮像が可能です。ラインセンサの画素が正方形の場合、センサの1画素がシートの幅方向にカバーする長さと、撮像時間にラインの移動する距離が同じ場合、縦横比が1:1の2次元画像が取得できることがわかります。

ラインスキャンカメラの原理図

図2

また、照明は、1ラインの撮像部分だけを同じ明るさで照らせば良いことが分かります。バー照明というラインスキャンカメラに対応した細長の照明が照明メーカーから発売されていますので、これを使えば照明の設置が簡単に行えます。さらに画素数の多いラインスキャンカメラを使えば、広い幅を1台でカバーすることが可能です。
またラインスキャンカメラには、モノクロだけでなく、カラーカメラもあります。カラーカメラの方式としては、図3に示すように、R、G、Bそれぞれに対応したライン状の素子が1パッケージ化された3Line方式が一般的です。この方式はセンサが安くなる、というメリットがありますが、R、G、Bそれぞれに対応する素子出力を、ワークが移動する速度に合わせて合成する処理が必要となり、特にワークに凹凸があったり、移動速度が一定で無い場合、色ずれが起こる場合があります。

R、G、Bそれぞれに対応したライン状の素子が1パッケージ化された3Line方式

図3

これに対し値段は高くなりますが、一つの入力光をプリズムで分光し、3つのセンサで撮像する、という3板カラーカメラ方式があります。(図4) この方式は、同じ入力光をR、G、Bそれぞれに対応するセンサで受光し、撮像しますので、受光後の処理の必要が無く、色ずれの無い、高画質のカラー画像を得ることが出来ます。シーマイクロではこのプリズムを使ったカメラ開発に豊富な経験と実績がございます。
近年では、InGaAsという化合物半導体を使ったセンサの低価格化により、可視光より長い波長の近赤外線(780nm~2,500nm)領域をカバーするラインセンサを使ったラインスキャンカメラも商品化されています。プリズム分光を使う事により、2つの特定の近赤外線波長を同時に撮像できるようなラインスキャンカメラも商品化されています。

3板カラーカメラ方式

図4

エリアカメラとの違い

エリアカメラを用いてシートの様な連続したワーク撮像する場合は、図5に示すように撮像されていない場所が発生しないように、常に重なり部分を確保しながら、ワークの動きと同期して決められた間隔で撮影する必要があります。そのため、撮影後、解析を始める前に、撮影した複数の画像から重なりの無い連続した画像を生成するスティッチング処理と呼ばれる処理を行う必要があります。この処理のためのオーバーヘッドがある分、特に高速で移動するワークの場合、検査中のリアルタイム解析に不利な事が分かります。

エリアカメラとの違い図

図5

一方部品の様に、一定間隔で比較的低速でベルトコンベア上を流れる決まった形状のワークを検査するような場合は、各部品が真上に設置されたカメラの画面の丁度真ん中に来た際に撮影する事は比較的容易で、スティッチング処理も必要無く、縦横比を気にする必要も無いため、エリアカメラを使うのが有利と言えます。

ラインスキャンカメラを導入するメリット

上記の様なラインスキャンの特長、エリアカメラとの違いから、ラインスキャンカメラを導入すると有利なワークとして、以下の様な検査対象が挙げられます。

  • 織物、シート、印刷物の様な、広い幅と長さがあるワーク
  • 缶、円筒形などのRがかかったワークの側面のキズやへこみ、印刷の検査(図6を参照ください。)
  • 表面に凹凸の不良のあるワーク(均一の照明条件が作り易く、陰になる部分が無いため。)
缶、円筒形などのRがかかったワークの側面のキズやへこみ、印刷の検査図

図6

まとめ

シーマイクロでは、モノクロ/カラー、可視光/近赤外線、そして画素数は、1024~16,384 と様々なタイプのラインスキャンカメラをラインアップしております。
さらにシーマイクロでは、高精度のプリズムカメラで、RGBのプリズムカメラのみならず、お客様の要求に合わせて、可視光から近赤外線の中の特定かつ複数の波長の映像だけを取り出すカスタム化されたプリズムカメラの提供も可能です。

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