
可視光では見えない欠陥はどう検査する?
― 近赤外線カメラ(InGaAs)の仕組みと活用ポイント ―
製造現場では、カメラを用いた外観検査が広く活用されています。
しかし、
「画像では異常が見えないのに不良が発生する」
「目視では確認できない材質の違いを識別したい」
といった課題に直面することも少なくありません。
そのような場面で活用されているのが近赤外線カメラです。
可視光では取得できない情報を捉えることで、内部欠陥や材料の違いを可視化できる可能性があります。
本記事では、可視光検査の限界から近赤外線カメラ(InGaAsカメラ)の仕組み、導入時のポイントまでを分かりやすく解説します。
1. 可視光では見えない欠陥が存在する理由
一般的な産業用カメラは、人の目と同じ可視光領域(約400~700nm)の光を利用して撮像しています。
そのため、表面のキズや汚れ、形状変化などの検出には優れていますが、対象物によっては十分な情報を取得できない場合があります。
例えば、
・フィルム内部の異物
・樹脂内部の気泡や欠陥
・シリコンウェーハ内部のボイドやクラック
・水分量の違い
・材料組成の差異
といった情報は、可視光だけでは判別が難しいケースがあります。
これはカメラ性能の問題ではなく、光の波長特性によるものです。
欠陥が存在していても、その波長では十分なコントラストが得られなければ画像として捉えることができません。
そのため、検査対象や検出したい不良によっては、可視光とは異なる波長を利用した検査が必要になります。
2. 近赤外線カメラ(InGaAsカメラ)で何が見えるのか
近赤外線(Near Infrared:NIR)は、可視光より長い波長領域の光です。
物質は波長によって光の透過率や吸収率が変化するため、可視光では見えない情報でも近赤外線では取得できる場合があります。
代表的な例がシリコンです。
シリコンウェーハは可視光では不透明ですが、近赤外線領域では透過性が高くなるため、
内部構造や接合状態、ボイドなどの観察が可能になります。
また、水分は特定の近赤外線波長を吸収する特性を持つため、含水量の違いや材料状態の変化を検出する用途にも利用されています。
こうした近赤外線領域を高感度で撮像できるのがInGaAs(インジウム・ガリウム・ヒ素)センサを搭載したInGaAsカメラです。
近年では、
・半導体検査
・フィルム検査
・樹脂検査
・異物検査
・水分検査
など幅広い分野で活用されており、従来の可視光検査を補完する技術として注目されています。
近赤外線カメラの価値は「より鮮明に撮ること」ではありません。
可視光では取得できない情報を可視化し、新たな検査手段を提供できる点にあります。
まずはお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせはこちら3. 近赤外線検査を成功させるポイント
近赤外線カメラを導入すれば、すべての検査課題が解決するわけではありません。
実際の検査性能は、
・使用する波長
・照明方式
・レンズや光学系
・撮像条件
・画像処理アルゴリズム
など、さまざまな要素の組み合わせによって決まります。
例えば同じフィルム検査でも、透過光が適しているケースと反射光が適しているケースがあります。
また、異物の種類によっては複数波長を組み合わせた方が識別しやすい場合もあります。
そのため重要なのは、「どのカメラを選ぶか」だけではなく、
「何を見たいのか」「どのような不良を検出したいのか」を明確にすることです。
シーマイクロでは、近赤外線対応カメラの提供だけでなく、画像処理ソフトウェアの開発や検査システムの構築も行っています。
撮像から判定までを含めて検査方法を検討できるため、
お客様ごとの課題に合わせた最適なソリューションの提案が可能です。
お客様ごとの課題に合わせた最適なソリューションの提案が可能です。

4. まとめ
近赤外線カメラは、可視光では捉えられない内部欠陥や材料差を可視化できる有効な検査技術です。
特にフィルムや樹脂、半導体などの分野では、品質向上や不良流出防止に大きく貢献しています。
一方で、近赤外線が最適な手法かどうかは対象物や検査目的によって異なります。
重要なのはカメラのスペックだけを見るのではなく、
「どのような情報を取得したいのか」という視点から検査方法を検討することです。
現在の検査で見えない欠陥や判定しづらい現象がある場合は、
波長を変えることで解決の糸口が見つかるかもしれません。
波長を変えることで解決の糸口が見つかるかもしれません。
シーマイクロでは、カメラ選定だけでなく照明や画像処理を含めた検査方法の検討にも対応しています。
近赤外線が適しているか分からない段階でも構いません。
検査に関するお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
一緒に最適な方法を考えさせていただきます。
実際の検査性能は、ワーク特性、搬送条件、照明構成、装置仕様など複数の要因により変動します。
個別条件に合わせた最適化についてはご相談ください。

